星の杜中学校・高等学校
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10昭和の歌にも、人生を旅になぞらえたものが数多くあります。私たちは、人生の先を想像できるでしょうか。人生には、さまざまな困難や喜び、予期せぬ出来事が待ち受けています。まだ知らないものごとに出会いながら、人生は続いていく。そのような姿を「旅」に重ねたのだと思います。ある意味で、探究とは生き方そのものに通じるものだと、私は感じています。そうで す ね 。人 生 にお いて探 究「も」大切で、それは人間の生き方やあり方に対して、さまざまな場面で使えるし、活きると思います。の半数は107歳まで生きるという統計があります。生きる時間が長くなれば、ライフイベントも増えていきます。COVID-19などの社会レベルの変動だけではなく、個人レベルの選択の回数も増えてくる。選択を繰り返すことで、人生はよりオリジナルになっていきます。探究学習が重要性を増しているのは、そのような変化により学校教育でも「考え方」や「自分のあり方」が重視されるようになったという背景があります。ツールの捉え方が違います。例えば金□なら釘を打つ、のこぎりなら木を切るというように、道具は本来目的が一つ。しかし、デジタルのツールという捉え方は、使う人によって活用の幅が多方面に広がったり縮んだりします。本校ではデザイン思考を取り入れ、実践の中で子どもたちの思考を広げたり縮めたりする。そして、将来に向けて自分はこうなりたい!という主体性につなげていく点が、他校とは違うと思っています。宮 田 生成AIが注目されていますが、体験は大切。AIは体験できないので、これからは一次情報がより重要視されると思います。今求められている「新しい学び」とは、何だと思いますか。橋 本 今はZoomで会話し、YouTubeで勉強もできる。時代の変化が起きたことと同時に、ツールの変化も起きていて、それが現代的になっていると思うんです。体験の重要性は昔から言われていたけど、今は多くの選択肢から自分に合う方法を選べる時代。学びながら、体験しながら、考えながら、ディスカッションをしながら、といった学びがすべて複合的にあることが大事だと思います。木 村 今年の本校のデジタルのテーマは「伝える、そして広げる」。これからの学びは、伝えるだけではダメで、広げていく手段や手法も考えていく必要があります。それが情報なら、さらに責任も伴います。伝えるという点に関して言うと、本校では自己を表現するプレゼンテーションを重視しています。プレゼンテーションは人の心を動かし、感動させる。聞き手の主体性 D X 推 進 ディレクター 木 村 浩 之( 中 学 校 サ ブチ ーフ )星 の 杜 の 探 究デジタルという“ツール”宮 田早速ですが、星の杜の探究は他校とは何が違うと思いますか。橋 本星の杜の探究が始まり今年で3年目。技術的なスキルと、実践を通した体験の両面から知を得る。今年はそのバランスが整ってきたと感じます。さらにアントレプレナーシップ、データサイエンス等、昨年以上にさまざまな授業があります。生徒の中でそれらの授業がバラバラではなく、『なりたい自分』を軸に全部が枝葉で活かせるものとして結びつく。さらに主要5教科や実技教科も結びついて、一本の軸を通して学びがつながれば、探究は面白くなります。それが 今 年のテーマであり、本校の強みになると思います。宮 田 私は 『ライフ・シフト 人生100年時代における生き方、あり方』を提唱しているリンダ・グラットン氏の本を監修していますが、その中でも探究学習が扱われています。松尾芭蕉は人生を「旅」に例えました。橋 本宮 田 監修した本によると、今の高校生木 村 星の杜の探究は、デジタルというデ ィレ ク タ ー Edu Tech Lab 代表。Google for Education 認定イノベーター(JPN19)。DaVinchi Resolve認定トレーナー(動画編集)。公立学校に27年間勤務後、大学講師として従事しながらICTを活用した授業や校務の改善に長年取り組んできた。また、産業技術教育学会に所属し、「ICTを用いての授業のユニバーサルデザイン化」や「プログラミングで何を学ぶのか」などの実践研究を行っている。これまでの学校の当たり前を、デジタル改革することで、学びや働き方の変革を起こそうと取り組んでいる。 H I R O Y U K IK I M U R A宮 田 理 事橋 本 探 究 推 進星 の 杜 が考 える「 探究 × デ ジタ ル 」が

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