星の杜中学校・高等学校
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未来をデザインする教育新時代のイノベーター06民間企業で23年間、教育事業を担当し、全国の中学校・高校約200校を訪問、世界40の国・地域のさまざまな教 育 機 関を視 察し日本の教 育の課 題を実 感する。2020年に起業。株式会社EDUCATION design代表取締役を兼任。2021年に宇都宮海星女子学院の校長補佐に着任した。2024年4月より現職。 星の杜の3年目がスタートしました。今年度で中学1年生から高校3年生まで全学年が揃い、星の杜の完成年度と位置付けています。校則なし、定期テストなし、チェンジメーカー、デジタルデザインなどなど、聞き慣れないワードが飛び交う“謎”の学校も、今では、宇都宮市内はもちろん、県外の方々からも「応援」や「期待」の声をいただくことが多くなってきました。開校以来、全国各地から本当にたくさんの学校が星の杜の視察に足を運んでいただけるようになりました。まだスタートしたばかりの本校にとって、これは大変大きな自信に繋がっています。星の杜は、本当に社会で活躍できる人材を育てるために、中学校・高等学校(中等教育)のこの大切な時期に教育機関として何ができるのか?何をしなければならないのか?を徹底的に考え、日々の学びを設計しています。そして星の杜10年ビジョンとして「教育新時代の最前線へ」を掲げました。日本は、世界の中では課題先進国と言われています。世界で最も急激な速度で進んでいる少子高齢化は、経済面・社会面で、これからの未来を生きる若者に大変重い荷物を背負わせることになります。GDPは、10年前に中国に、2023年にドイツに抜かれ4位となりました。また、IMD世界競争力ランキング2023では、64か国中、過去最低の34位になり、ランキングの低下が止まりません。その中でも特に低い評価を受けているのが、デジタルスキルが63位、国際経験、企業の俊敏性、ビッグデータ分析・活用が最下位の64位です。OECDが実施している学習到達度調査(PISA)の成績では日本は世界のトップクラスにも関わらず、どうして特に世界のビジネスシーンから日本の存在感が消えていってしまっているのでしょう。それは日本の教育に問題があるからだと思っています。中等教育時代の学びが社会と接続されていないということではないでしょうか。だからこそ日本の教育は、暗記中心の学力評価で優劣を決める教育からは脱却する必要があります。高校を出たら、大学も含めてすぐに社会です。したがって高校を卒業する前に、社会で求められるスキルと、学校、特に中等教育で伸長させるスキルを可能な限りイコールにする必要があると考えます。星の杜では、そのスキルを5つのグラデュエーションポリシーとして明確化しました。そして、星の杜で実践されるすべての教育活動は、そのグラデュエーションポリシーの育成に繋がっていることを前提として設計されています。それは、体育や部活動も例外ではありません。そのような教育を実践するためには、学びを多様化する必要があるため、中学2年生から イノベーターコースとエンジニアコース、高校2年生から グローバルラーニングコースとディープラーニングコースに分かれます。各コースでは、星の杜の教育の特徴であるグローバルリテラシーやデジタルスキルを伸長させるため、その年齢に合わせた学びが展開されていきます。他の学校では学ぶことができない星の杜オリジナルのカリキュラムです。また、“英語の星の杜”という印象が強いと思いますが、2024年度より、文部科学省から「DXハイスクール(高等学校DX加速化推進事業)」に認定されています。この事業は、高等学校において、情報、数学等の教育を重視するカリキュラムを実施するとともに、ICTを活用した文理横断的かつ探究的な学びを強化するものです。このDXハイスクールに認定されたことで、さらに高度なデジタル人材の育成に舵を切ることが可能になりました。これからも進化し続ける星の杜にご注目ください。 星の杜中学校・高等学校 校長教育新時代の最前線へ学びと 社 会を接続させる進化し続ける星の杜

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